【書評】盤上の向日葵上・下
こんにちは。でっくんです。
「盤上の向日葵」を読んだので書評します!将棋好きにはたまらない作品でした!
総合満足度 :(小説では今年イチかも)
文章の読みやすさ :(表現が的確で読みやすい!)
ストーリーの緻密さ :(登場人物の背景が丁寧!)
感動度・余韻 :(将棋の持つ「魔力」を見事に描いた作品)
作者:柚木裕子
平成6年、夏。埼玉県の山中で身元不明の遺体が発見される。遺体と伴に名駒「初代菊水月作」が埋められていた。
捜査線上に上がった容疑者は、竜昇戦に挑戦中の棋士・上条桂介。
彼は東大を卒業した後に起業し、成功を収めた後に突如企業した会社を辞め棋士になった異端児。炎の棋士と称される。
そんなかれの壮絶な人生とはー。
将棋の持つ”魔力”を表現した素晴らしい作品
まずこの作品の素晴らしいところは、将棋に憑りつかれた人の感情を最大限に表現しているところです。
私も、中学から大学の間に将棋に憑りつかれた人間ですが、
将棋には“魔力”があります。😈😈
中学の時に同級生に負けた悔しさから、勉強、友人作り、恋愛そっちのけで将棋のことばかり考えていました。
高校も将棋が強い高校を選んで進学したぐらいです。😳 😳
将棋ばっかりではいけないと、将棋を一時的に辞めて勉強や友人作りを頑張った時もありましたが、期間が経つとどうしても将棋がやりたくなってしまうのです。
それが自分の感じた将棋の持つ魔力だと思いました。
物語の主人公である上条桂介も将棋の魔力に憑りつかれた人物で、
彼の気持ちが痛いほど分かる内容でした。
「お前は将棋を指してねえてと死んじまうやつだってな(中略)将棋に取り憑かれた人間はみりゃあわかる」
桂介が物語の中で他の人物から言われる言葉なのですが、
印象に残りました。
将棋の内容もむちゃくちゃリアル
作者の柚木さんにどのぐらいの将棋の知識があったのかは分かりませんが、
相当勉強されたのだと思います。将棋の指し手がリアルでした。
魂を込めた指し手や、気持ちを切らしてしまった時に指した手の表現の描写も見事でした。
特に、ラストは読むのがやめられなくなってしまい、
23時~25時までぶっ通しで読みふけってしまいました。
モデルが誰かを考えるのも楽しい!
そして、将棋ファンにとってたまらないのが、登場人物のモデルがなんとなく分かるような書き方になっていること。
例えば・・・
壬生芳樹・竜昇・・・羽生善治九段
崎村八段・・・おそらく福崎文吾九段?先崎学九段?木村一基八段?
東明重慶・・・小池重明
といった具合です。
また、指し手から誰の対局かを考えるのも楽しいです。
多分だけど、藤井猛九段の棋譜が1局使われていたのではないかと思います。
まとめ
まとめるとこんな感じです。
将棋の指し手と心理の連動を見事に描いている
登場人物や棋譜のモデルを考えるのも楽しい
ということで大満足の内容でした!
柚木裕子さんの他の作品も気になりますね!