今回は「失敗の本質 」を読んでみたので、内容を解説したいと思います。
戦時中の日本軍はなぜ失敗したのか、その失敗から現代に生きる私たちは何を学んだら良いのかがテーマになっています。
1991年に初版が発行され、2021年に第73版が発行されているロングセラーであり、名著です。
30年前に発行された本ですが、今の日本の政治や組織を考える上でも勉強になる一冊です!
- 会社組織の経営に常に必要な戒めを学べる
- 自己成長する上で必要な考え方を学べる
- 戦時中の日本軍の行動を振り返ることができる(教養になる)
「失敗の本質」の結論と要約
- 日本軍は、合理性よりもその場の人間関係への配慮が優先して物事が決定される傾向がある。
- 日本軍では、結果よりもやる気が評価対象になった。
- 日本軍では、失敗を教訓にして変革することができなかった。(PDCA回らなかった)
- 今の日本の政治や会社組織も同じことになっていませんか?日本軍の失敗を生かしていきましょう!
- プロローグ
第二次世界大戦での日本軍が敗れた原因を分析。分析していくと日本軍は危機的な状況で組織が有効に機能しておらず、合理性や効率性から相反する行動をしている。なぜそのような行動したのかを分析して、教訓とするのが本書の目的。 - 失敗の事例研究
「ノモンハン事件」「ミッドウェー海戦」「ガダルカナル戦」「インパール作戦」「沖縄戦」の6つの日本軍が敗れた戦いから日本軍が組織として有効に機能しなかった原因を分析 - 失敗の本質
6つの戦いで分析した結果から、日本軍が組織として失敗した本質を分析。主な失敗した原因は以下。- 曖昧な戦略目的(目的が曖昧なのでバラバラになった)
- 精神主義、人情主義が優先して合理的な戦略にならない
- 失敗しても組織として学習し、改善していない。(PDCAが回せていない)
- 失敗の教訓
日本軍は日露戦争に勝利した経験から、その手法を第二次世界大戦でも踏襲した。うまくいっている間はそれで良かったが、うまく行かなかった時に、自己を批判的に見て学習することができなかった。(環境が変わった時に適応できなかった)適応力のある組織は、環境を利用してたえず変異、緊張、危機感を発生させている。日本の組織も自己変革できる組織であるべき!能力で評価される組織にして合理的な組織で動いていこう!PDCA回すのと結果を直視して成長できる組織にしていきましょう!
印象に残った文章
私が本書で気づきのあった文章をいくつかピックアップします。
その1「うまくいかない時は今までの常識を疑え!」
組織過学習には、組織の行為と成果の間にギャップがあった場合には、既存の知識を疑い、新たな知識を獲得する側面があることを忘れてはならない。その場合の基本は、組織として既存の知識を捨てる学習棄却、つまり自己否定的学習ができるかどうかということなのである。
うまくいかない時は今までの常識を疑え!と言っている文章なのですが、実践するの難しいですよね・・・。今までの自分を全否定して、新しいことを学ばないといけないので・・・。
その2「空気に流されて言うべきことが言えない・・・」
インパール作戦作戦中止の際にも見ることができる。(中略)河辺方面軍司令官は第十五軍の牟田口司令官を訪れた。両者とも作戦中止を不可避と考えていたにもかかわらず、「中止」を口に出さなかった。牟田口は「私の顔色で察してもらいたかった」といい、河辺も牟田口が口に出さない以上、中止の命令を下さなかった。
ポンコツか!と言いたくなるようなエピソードですけど、あるあるな気もします。空気を読まずに言うべきことを言える人間でありたいと思いました・・・。
東京五輪にも通じるところがありそう・・・。
「失敗の本質」を読んでの感想
「失敗の本質」からは、沢山の教訓を学ぶことでき、大満足の内容でした。
総合満足度: (5/5)
「察する」ことへの戒め
日本では「察する」能力を持つ人が評価される傾向にあると思います。学校や職場では空気を読んで、適切な行動や気の利いた行動のできる人は好かれやすいですよね。
日本軍にも「察する」ことを行動につなげる文化があり、大本営が陸軍に支持を出す時にも曖昧な指示で、陸軍に意図を「察してもらう」ことを期待した指示が多かったようです。
結果、陸軍は都合の良いように解釈して、大本営と陸軍の間にコミュニケーションミスが発生していたようです。
相手に「察してもらう」ことを期待するのではなく、ちゃんと言葉にして伝えることの重要性を学ぶことができました。
うまく行かない時は、既存の知識を疑う
また、行動と成果にギャップがある場合は、既存の行動に問題がなかったか再検証して改善していくことが重要であることも学ぶことができました。
「失敗の本質」を読む上での予備知識
「失敗の本質」を読む上での予備知識を以下にリンクしておきます。